
『動植綵絵』全30幅の鶏のなかで、裏彩色が施されているのはこの雌鶏だけです。尾には現実にはありえない水玉模様まで描き込まれています。制作年がわかる7幅のうちの1つで、若冲が同時に50面もの障壁画を手がけていた多作の年、宝暦9年(1759年)の作です。
見どころ
裏彩色が施された唯一の雌鶏
雌鶏には『動植綵絵』の鶏の中で唯一、細やかな裏彩色が施されています。くちばしや脚には緑青、尾や翼には胡粉と代赭が使われ、他の鶏にはない特殊な彩色表現になっています。
現実にない尾の水玉模様
雌鶏の尾には、現実ではありえない水玉模様が配されています。顔の中心にはピンクの裏彩色が施され、雄鶏の求愛に頬を紅潮させて応える姿を表現していると思われます。
辰砂で塗られた雄鶏の鶏冠
雄鶏の頭部の赤は、辰砂と薄墨を併用して表現されています。アジサイにも劣らない存在感は、この赤い鶏冠と表情の強さによるものとされています。
若冲、飛躍の1年
『動植綵絵』30幅のうち、制作年代が明らかなのは7幅だけですが、そのうち5幅が宝暦9年(1759年)の作です。同じ年には『鹿苑寺大書院障壁画』50面も制作しており、この年の若冲の制作意欲の高さがうかがえます。
雲と霞に見立てた花
本作は『藤景和画記』では「堆雲畳霞」と題されています。大典顕常は、画面上部のアジサイを雲に、下部のツツジとバラを霞に見立てました。美術史家の辻惟雄は、本作を『動植綵絵』の中でも屈指の力作と評しています。アジサイの花は同じ形が繰り返されるため単調な画面になりやすいところを、胡粉の濃淡に差をつけることで単調さを避けています。
汝鈞という若冲の名
画面には白文方印で「汝鈞」、朱文円印で「藤氏景和」の2つの印が捺されています。「汝鈞」は若冲の名、「景和」は字、「藤」は姓にあたり、寄進状などとは異なる若冲の別の呼び名を伝えています。
よくある疑問
- 『紫陽花双鶏図』はどこで見られる?
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皇居三の丸尚蔵館(東京)の所蔵で、『動植綵絵』全30幅のうちの1幅として国宝に指定されています。
- 誰が描いた?
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伊藤若冲です。款記に『宝暦己卯秋平安錦街居士若冲造』とあり、宝暦9年(1759年)秋の制作であることがわかっています。『動植綵絵』の中で制作年代が明らかな7幅のうちの1つです。
- 何が描かれている?
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画面全体を覆うアジサイと、バラ、ツツジの花、そして2羽のニワトリが描かれています。大典顕常は画面上部のアジサイを雲に、下部のツツジとバラを霞に見立てました。
- 似た作品は他にもある?
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米国のプライス・コレクションに、図様が類似した先行作品の『紫陽花双鶏図』が存在します。本作はその構図をさらに発展させたものとされています。
基本データ
伊藤若冲のほかの作品
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル