
モデルはロセッティが愛したジェイン・モリス。夫は親友の詩人ウィリアム・モリスでした。ロセッティは同じ主題の絵を8年かけて8点も描き続け、この絵にはイタリア語の自作の詩も書き込んでいます。‘後は野となれ’ではなく、禁じられた果実を手にした女神への未練を歌う詩です。
見どころ
手の中のザクロ
冥界の女王となったプロセルピナが手にする、一口かじったザクロです。果肉の色は彼女の唇の色と呼応するように描かれています。ロセッティ自身、これを「宿命の果実」と呼びました。
壁に差す一筋の光
背後の壁にわずかに光が差し込み、女神は思いにふけりながらそちらへ視線を送っています。ロセッティによれば、これは一瞬だけ見える地上の光景を示しています。
右上のイタリア語の詩
画面右上には「プロセルピナ」の署名と、ロセッティ自作のイタリア語の詩が書き込まれています。英語版の同じ詩は額縁の方に刻まれました。
精神の不調のなかで描かれた
ロセッティは1874年、カンヴァスに1874年の日付を書き入れていますが、実際には同じ主題に7年をかけ、8枚のカンヴァスに取り組んでいます。この時期、彼は精神的に不安定で、ジェイン・モリスへの思いも度を越したものになっていたと伝えられています。
蔦は記憶、香炉は女神のしるし
ロセッティ自身の言葉によれば、プロセルピナの背後にある蔦の枝は「まとわりつく記憶」の象徴です。そばに置かれた香炉は、彼女が女神であることを示す持物とされています。ドレスは水がこぼれるようなひだで描かれ、潮の満ち引きを思わせます。
レイランドの応接間を飾った1枚
この絵を依頼したレイランドは、ロセッティに18点もの絵を注文したパトロンでした。『プロセルピナ』は『ムネモシュネ』『祝福されたる乙女』とともに三部作を構成し、レイランドの応接間には計6点のロセッティ作品が「壮麗な絵」として並べて飾られていました。
よくある疑問
- 『プロセルピナ』はどこにある?
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ロンドンのテート・ブリテンの所蔵です。よく似た構図の別バージョンがバーミンガム美術館にもあります。
- モデルは誰?
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ジェイン・モリスです。ロセッティの友人で、彼のラファエル前派の仲間ウィリアム・モリスの妻でした。繊細な顔立ちと細い手、青白い肌、豊かな黒髪で知られていました。
- なぜプロセルピナ(プロセルピネ)が主題なの?
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ローマ神話で冥界の王プルートに連れ去られた女神プロセルピナは、冥界でザクロの種を6粒食べてしまったために、1年の半分を地上で、残り半分を冥界で過ごす運命になりました。ロセッティは、人妻であったジェインとの叶わぬ思いをこの神話に重ねたとされています。
- この絵は何点あるの?
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ロセッティは1871年から亡くなる1882年まで、同じ主題で少なくとも8点のカンヴァスを手がけました。この作品は7作目にあたり、実業家フレデリック・リチャーズ・レイランドの依頼で制作されました。
基本データ
- 作者
- ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティDante Gabriel Rossetti
- 制作年
- 1874年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 125.1 × 61 cm
- 様式
- ラファエル前派
- 所蔵
- テート・ブリテン(ロンドン)
- 展示室
- 印象派以後
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル