ジェンティレスキは、自分を陵辱した画家アゴスティーノ・タッシを告発した裁判の翌年にこの絵を描きました。ホロフェルネスの首を切る瞬間の血しぶきや腕の筋肉は、当時の同主題の絵よりはるかに生々しく描かれています。研究者の多くは、この絵に画家自身の怒りが反映されていると読み解いています。
見どころ
剣を握るユディトの腕
ユディトの両腕は硬直したように平行に描かれ、力を込めて剣を引いています。カラヴァッジョの同主題作品を踏まえた描写です。
召使いに押さえられる拳
召使いのアブラは、もがくホロフェルネスの特大で筋骨隆々とした拳を必死に押さえつけています。ユディトより若い姿で描かれているのが特徴です。
袖をまくった2人の衣装
ユディトは金の刺繍が入ったコバルトブルーのドレス、召使いは赤いガウンをまとい、どちらも袖をまくり上げています。ウフィツィ版より深い原色が使われています。
カラヴァッジョからの影響
最も重要な図像的源泉は、10年前にカラヴァッジョが描いた同主題の作品です。ホロフェルネスを殺害する際の激しい暴力性や、背景の装飾を省いた構図、ユディトの硬直した両腕は、いずれもカラヴァッジョに基づいています。一方でアルテミジアは召使いにも暗殺を手伝わせており、陰惨さを抑制していません。
カラヴァッジョ作として売られた来歴
絵画の制作直後の来歴はほとんど分かっていません。19世紀にナポリのサヴェリア・デ・シモーネ夫人が所有し、1827年にカラヴァッジョの作品として売却されました。ブルボン朝のコレクションに加わったのち、ナポリ国立考古学博物館を経てカポディモンテ美術館に収蔵されています。
強い女性を描いた画家の意志
17世紀の伝記作家フィリッポ・バルディヌッチは、この絵が「少なからぬ恐怖を引き起こした」と評しました。本作をめぐる議論は、画家の被害体験との単純な結びつけからしだいに離れ、行動の中心に強い女性を据えたアルテミジアの意志そのものへと焦点を移してきました。
よくある疑問
- 『ホロフェルネスの首を斬るユディト』はどこにある?
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イタリア・ナポリのカポディモンテ美術館に所蔵されています。同じ主題の別バージョンがフィレンツェのウフィツィ美術館にもあります。
- 描かれているのは誰?
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旧約聖書『ユディト記』の女性ユディトが、敵将ホロフェルネスの首を切り落とす場面です。ユディトは敵陣に単身乗り込み、酔って寝入ったホロフェルネスを討ち取ったとされる人物です。
- なぜアルテミジア自身の体験と結びつけられるの?
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アルテミジアはこの絵を描く前年、画家アゴスティーノ・タッシから受けた暴行の裁判を経験していました。美術史家メアリー・ガラードらは、この絵をタッシへの怒りが反映された自伝的な作品として読み解いています。ただし絵の発注主や制作経緯を示す史料は見つかっていません。
- ウフィツィ版と何が違う?
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構図はほぼ同じですが、カポディモンテ版のほうがより深い原色を使っています。ウフィツィ版は1613年から1621年の間に制作された、カポディモンテ版より後の第2のバージョンです。
基本データ
- 作者
- アルテミジア・ジェンティレスキArtemisia Gentileschi
- 制作年
- 1612〜1613年ごろ
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 158.8 × 125.5 cm
- 所蔵
- カポディモンテ美術館(ナポリ)
- 展示室
- バロック・ロココ
出典・画像について
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