ウェルトゥムヌス

ジュゼッペ・アルチンボルド《ウェルトゥムヌス》1591年
ウェルトゥムヌスRudolf II as Vertumnus
1591年
スコークロステル城(ストックホルム近郊)
何がすごいのか

皇帝の顔と胸は50種以上の野菜や果実、花で組み立てられています。麦の穂、洋ナシ、サクランボ、トウモロコシなどが皇帝ルドルフ2世を豊穣の神ウェルトゥムヌスに見立てています。この絵は三十年戦争でスウェーデンに略奪され、今もストックホルム近郊の城に所蔵されています。

見どころ

野菜と果物でできた顔

髪は麦の穂、額や頬は洋ナシやサクランボなど、顔全体が50種以上の野菜・果実・花で構成されています。ルドルフ2世を豊穣の神ウェルトゥムヌスに見立てた表現です。

胸を覆う穀物と野菜

胸から下は、トウモロコシ、イチジク、ナス、ズッキーニ、アーティチョークなど様々な野菜が積み重なるように描かれています。皇帝の権力が実りの豊かさそのものであることを示しています。

頭上を彩る花々

頭の上には様々な花が冠のように盛られています。同時期に描かれた『四大元素』や『四季』では横顔で描かれていましたが、本作はあえて正面向きの肖像として描かれました。

四季を統べる皇帝という表現

本作より前に制作された連作『四大元素』や『四季』では、いずれも横顔で描かれていました。本作ではあえて正面を向いた肖像とすることで、あらゆる元素や季節を統べる皇帝の統治と、その永続性を表現しています。

変身の神が皇帝になった瞬間

ウェルトゥムヌスは、ローマ神話において様々な姿に変身できる能力を持つ神です。本作は、そのウェルトゥムヌスが皇帝ルドルフ2世へと姿を変えた、まさにその瞬間を描いたものと考えられています。1591年、アルチンボルドはこの絵と『フローラ』を、自作の詩を添えて皇帝に献上しました。

略奪された美術品の行方

ルドルフ2世の死後、彼が本拠としたボヘミアは欧州全体を巻き込む三十年戦争の主戦場になりました。プラハ城にあった皇帝の膨大な収集品はほとんどが破壊され、散逸しています。本作は1648年にスウェーデンによって略奪され、同国に運ばれました。

よくある疑問

『ウェルトゥムヌス』はどこにある?

スウェーデンのストックホルム近郊、湖畔に建つスコークロステル城に所蔵されています。1648年、三十年戦争のさなかにスウェーデンによってプラハから略奪され、同国に運ばれました。

誰が描いた?

神聖ローマ帝国の宮廷画家ジュゼッペ・アルチンボルドが、1591年に皇帝ルドルフ2世を描きました。同年、自作の詩を添えてこの絵と『フローラ』を皇帝に献上しています。

なぜ顔が野菜や果物でできているの?

皇帝ルドルフ2世を、ローマ神話で姿を自在に変えられる豊穣の神ウェルトゥムヌスに見立てているためです。麦の穂やトウモロコシなど50種以上の作物で顔と胸を構成し、皇帝の統治のもとでの豊かな実りを表現しています。

献上後、画家はどうなった?

1592年、アルチンボルドは皇帝からパラティン伯選帝侯の爵位を授けられました。しかしルドルフ2世の死後、ボヘミアは三十年戦争の主戦場となり、彼が収集した美術品の多くが破壊・散逸しています。

基本データ

制作年
1591年
種別
絵画
所蔵
スコークロステル城(ストックホルム近郊)

出典・画像について

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