楽園追放

マサッチオ《楽園追放》1425年頃
楽園追放Expulsion from the Garden of Eden
1425年頃
フレスコ、214 × 88 cm
サンタ・マリア・デル・カルミネ教会 ブランカッチ礼拝堂(フィレンツェ)
何がすごいのか

描かれてから3世紀後、コジモ3世メディチの命令でイチジクの葉が上から描き足され、取り除かれたのは1980年代の修復のときでした。ミケランジェロの師は宗教画の教えをほぼこの1作品だけに頼っていたため、システィーナ礼拝堂の天井画にまで影響を与えたとされています。聖書の記述とは違い、天使は1人しか描かれていません

見どころ

泣き叫ぶイヴ

イヴは天を仰いで泣き叫び、両手で体を覆っています。深い心痛を想起させる表情が、追放という主題に個人的な悲嘆の意味を加えています。

顔を覆うアダム

アダムは両手で顔を覆い、うつむいて歩いています。彫刻家ドナテッロの『十字架像』からの影響が指摘されている人物です。

頭上の天使と剣

2人の頭上には剣を持つ天使が描かれています。聖書では複数形の智天使が配置されるとされますが、本作では1人だけです。

聖書とは異なる描写

マサッチオはこの場面を、創世記第3章に忠実にではなく描いています。アダムとイヴは裸体のまま示され、天使も1人だけで、楽園の入り口のアーチも聖書には登場しません。ただし芸術家が工房の伝統や先行作品を参照して描くことは、当時珍しくありませんでした。

覆われた3世紀

フレスコ画が描かれてから3世紀後、コジモ3世メディチは同時代の礼儀作法に沿って、人物の性器を隠すイチジクの葉を追加させました。この補筆部分は、絵画が完全に修復・洗浄された1980年代の作業で最終的に取り除かれています。

ミケランジェロへの影響

ミケランジェロの師ドメニコ・ギルランダイオは、宗教的な場面の教示をほぼマサッチオのみに頼っており、ギルランダイオ自身もマサッチオのデザインを模倣していました。その影響はシスティーナ礼拝堂天井のミケランジェロによる『楽園追放』にもっともよく表れているとされています。

よくある疑問

『楽園追放』はどこにある?

フィレンツェのサンタ・マリア・デル・カルミネ教会、ブランカッチ礼拝堂の壁面にあります。マサッチオやマゾリーノらが手がけた連作フレスコ画の一部です。

なぜイチジクの葉が描かれていたの?

フレスコ画完成の3世紀後、コジモ3世メディチが同時代の礼儀作法にあわせて、人物の性器を隠すためイチジクの葉を上から描き足させました。この加筆部分は、絵画が完全に修復・洗浄された1980年代に取り除かれています。

聖書の記述とどこが違う?

創世記ではアダムとイヴに神が皮の衣を着せたとありますが、本作では2人とも裸のまま描かれています。また聖書では複数の智天使が配置されますが、本作では天使は1人だけです。楽園の入り口に描かれたアーチも聖書には登場しません。

ミケランジェロとどんな関係がある?

ミケランジェロの師ドメニコ・ギルランダイオは、宗教画の教示をほぼマサッチオの作品のみに頼っていました。その影響は、システィーナ礼拝堂天井画のミケランジェロによる『楽園追放』にもっともよく表れているとされています。

基本データ

作者
マサッチオMasaccio
制作年
1425年頃
種別
絵画
技法・素材
フレスコ
寸法
214 × 88 cm
様式
Early Renaissance
所蔵
サンタ・マリア・デル・カルミネ教会 ブランカッチ礼拝堂(フィレンツェ)

出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0、撮影: Paolo Villa (photo and corrections))。元ファイル

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