
初公開時、モデルの体は解剖学的にありえないと酷評されました。研究の結果、この歪みは単なるミスではなく、脊椎が椎骨5個分も引き伸ばされた意図的な変形だとわかっています。依頼したのはナポレオンの妹、ナポリ王妃カロリーヌでした。
見どころ
後ろを振り返る顔
オダリスクは後ろ姿で、顔だけを振り返らせています。その視線は複雑な心理状態とも、何の感情も示していないとも評されています。
引き伸ばされた背骨
背中から腰にかけての曲線は、実際の人体では不可能な湾曲です。研究では、椎骨5個分に相当する長さが脊椎から骨盤・腰背部にかけて加えられていると分析されています。
右腕より短い左腕
画面右で体を支える右腕に対し、左腕はそれより短く描かれています。小さな頭部や細長い手足とともに、マニエリスムの画家パルミジャニーノからの影響が指摘されています。
ヴィーナス2作からの着想
アングルはジョルジョーネの『眠れるヴィーナス』やティツィアーノの『ウルビーノのヴィーナス』からインスピレーションを受けてこの絵を描きました。一方でポーズそのものは、ジャック=ルイ・ダヴィッドの『レカミエ夫人の肖像』から借りています。古典的な形式とロマン主義的な主題を組み合わせた折衷的な作品で、当時の批評家はこれを新古典主義からエキゾチックなロマン主義への転換とみなしました。
酷評された1819年のサロン
1819年、サロン・ド・パリで初めて公開されると、ある批評家は「この作品には、骨も筋肉も、血も生命も、レリーフも、模倣を構成するものは何一つ存在しない」と評しました。アングルが解剖学的なリアリズムを無視しているという見方は、当時の一般的な意見でした。それでも彼は、曲線や官能性を表すための長い線と、ボリュームを抑える豊かで均一な光の使用を好み、1820年代半ばまで批判を受け続けました。
模写とオマージュの系譜
1903年、画家ジュール・フランドランがこの絵の模写を制作し、現在はモントーバンのアングル・ブールデル美術館に展示されています。1964年にはマルシャル・レイスがアメリカのポップアートの様式で再構成し、1985年と2010年にはペルーの画家ハーマン・ブラウン=ベガが舞台をペルーに置き換えた作品を発表しています。
よくある疑問
- 『グランド・オダリスク』はどこにある?
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パリのルーヴル美術館が所蔵しています。1899年に同館が購入し、それ以来ここに収蔵されています。
- 誰が描いた?
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新古典主義の画家ドミニク・アングルが、1814年に完成させました。ナポレオン・ボナパルトの妹でナポリ王妃だったカロリーヌ・ボナパルトの依頼による作品です。
- なぜ体のプロポーションがおかしいの?
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背骨が椎骨5個分ほど長く引き伸ばされ、実際の人体では不可能な湾曲と骨盤の回転で描かれているためです。当初は画家のミスとされていましたが、後の研究で意図的な歪みだと結論づけられています。オダリスク(スルタンに仕える女性)としての役割を象徴した歪みだとする解釈もあります。
- この絵をもとにした作品はある?
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フェミニスト・アート集団ゲリラ・ガールズは、この絵の裸婦にゴリラの仮面をかぶせたポスターを制作しました。ペルーの画家ハーマン・ブラウン=ベガやフランスのマルシャル・レイスも、それぞれの様式でこの絵を再解釈した作品を発表しています。
基本データ
- 作者
- ドミニク・アングルJean-Auguste-Dominique Ingres
- 制作年
- 1814年
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 油彩、カンヴァス
- 寸法
- 88.9 × 162.56 cm
- 所蔵
- ルーヴル美術館(パリ)
- 展示室
- 近代
ドミニク・アングルのほかの作品
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル