見返り美人図

菱川師宣《見返り美人図》17世紀末頃(江戸時代前期)
菱川師宣Hishikawa Moronobu
見返り美人図Beauty Looking Back
17世紀末頃(江戸時代前期)
絹本著色
東京国立博物館(東京)
何がすごいのか

浮世絵の代名詞のように扱われますが、版画ではなく一点物の肉筆画です。1948年に切手の図案に採用されると、これが日本の記念切手史上もっとも高価な1枚になるほどの人気を集めました。東京国立博物館での列品番号は60番と若く、早い時期に収蔵されていたことがうかがえます。

見どころ

振り返る一瞬の仕草

女性は歩みの途中で、ふと後方に視線を送る姿で描かれています。着物や帯を美しく見せるための演出とも考えられています。

吉弥結びの帯

帯は、17世紀末期に流行していた結び方『吉弥結び』です。紅色の地に菊と桜の刺繍を施した着物とあわせて、当時のファッションを伝えています。

緋色の衣装の裾

緋色の衣装の裾が、画面下部まで大きく広がっています。全身を描いた一点物の肉筆画ならではの、伸びやかな構図です。

早くから知られた1枚

『見返り美人図』は、浮世絵を確立した菱川師宣の代表作にして、彼の代名詞的な一図です。絹本著色で描かれた、世界的にも著名な肉筆浮世絵として知られています。

1810年(文化7年)の山東京伝による箱書があることから、幕末には好事家の間で知られていた可能性が高いとされています。同時代で年下の絵師・英一蝶は、本作に刺激を受けてか対抗するように、構図の似た『立美人図』を描いています。

画中の女性の人気は、『師宣の美女こそ江戸女』と称されるほどでした。東京国立博物館での列品番号は60番と若く、早い時期に収蔵されていたことがうかがえます。

記念切手で広まった人気

この作品が広く知られるようになった大きな要因は、1948年(昭和23年)11月29日発行の記念切手『切手趣味週間』(額面5円)です。この切手が日本の記念切手の中でも代表的かつ高価な1点となり、本作が大衆に知られるきっかけになりました。

150年記念の修理事業

2022年(令和4年)、東京国立博物館は創立150年記念事業として『踊る埴輪&見返り美人修理プロジェクト』を発表しました。同年4月1日から、本作と『埴輪 踊る人々』の修理費用として1000万円の寄付を募る事業を開始しています。

よくある疑問

『見返り美人図』はどこにある?

東京国立博物館が所蔵しています。列品番号が60番と若く、比較的早い時期に収蔵されたと考えられています。

誰が描いた?

浮世絵を確立した絵師、菱川師宣が描きました。本作は師宣の代表作にして、代名詞的な一図とされています。

なぜ切手で有名なの?

1948年(昭和23年)11月29日発行の記念切手『切手趣味週間』(額面5円)の図案に採用され、これが日本の記念切手の中でも代表的かつ高価な1枚となったためです。1991年と1996年にも切手の図案として使われています。

版画ではないの?

版画ではありません。絹に描かれた一点物の肉筆浮世絵です。同時代に活躍した英一蝶も、本作に刺激を受けたとみられる構図の似た『立美人図』を描いています。

基本データ

作者
菱川師宣Hishikawa Moronobu
制作年
17世紀末頃(江戸時代前期)
種別
絵画
技法・素材
絹本著色
所蔵
東京国立博物館(東京)

出典・画像について

画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル

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