
『婦人相学十躰』というシリーズ名は、出版途中でクレームを受けて『婦女人相十品』に変更されました。この『ポペンを吹く娘』は、変更前後の両方の版に存在する唯一の1枚です。1955年と2022年の2度、切手趣味週間の記念切手に採用されています。
見どころ
頬をふくらませる横顔
右手の人差し指だけを離した形でポペンを持ち、頬をふくらませながら吹いています。あどけなさや初々しさが感じられる表情です。
髪に挿したガラスの櫛
髪には、扇に花模様をあしらったガラス製の櫛が挿されています。安永年間以降に女性の間で流行していたトレンドを取り入れた描写です。
振り返る振袖の娘
振り返った姿で描かれ、振袖の描写とあいまって動きが感じられます。紅色の市松模様に花模様を散らした振袖と、薄緑色の帯が若々しいあでやかさを表しています。
蔦屋重三郎の再起をかけた作品
この絵が含まれる『婦人相学十躰・婦女人相十品』は、寛政の改革による出版統制で処罰を受けた版元・蔦屋重三郎が、再起をかけて手がけた美人画の揃物です。一枚絵の出版規制がゆるやかだったことから、蔦重は歌麿の新機軸の美人画錦絵に活路を見出しました。
改題のきっかけになった1枚
シリーズは当初『婦人相学十躰』の名で10作の予定で出版が始まりましたが、相学関係者からのクレームにより、『ポペンを吹く娘』の出版途中で『婦女人相十品』へと改題されました。それでもクレームは収まらず、シリーズ全体は8作で終了したと考えられています。
大首絵と雲母摺の革新
『婦人相学十躰・婦女人相十品』は、美人画の揃物として初めて大首絵と雲母摺の背景を採用したシリーズです。それまで鳥居清長の全身像による美人画が主流でしたが、歌麿は上半身のクローズアップで女性の表情やしぐさを描き分け、美人画の伝統を一新しました。
『婦人相学十躰・婦女人相十品』は、『歌撰恋之部』『北国五色墨』と並んで、喜多川歌麿の三大揃物のひとつに数えられています。
よくある疑問
- 『ポッピンを吹く娘』はどこにある?
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この記事のもとになった資料には、所蔵先の記載がありません。寛政4〜5年(1792〜1793年)ごろに複数の版が刷られており、伝わった先は版によって異なります。
- なぜタイトルが2つあるの?
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当初のシリーズ名『婦人相学十躰』に、相学(人相占い)関係者からクレームがついたため、出版の途中で『婦女人相十品』に改題されました。『ポペンを吹く娘』はその改題のタイミングにあたる作品で、両方の版が存在する唯一の1枚です。
- ポペンとは何?
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薄いガラス製の細工物です。息を吹き入れると底の部分が膨らみ、吸うとへこんで、その際に『ポペンポペン』という軽い音が出ることから名付けられました。
- 切手になったことがある?
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はい。昭和30年(1955年)と令和4年(2022年)の2度、切手趣味週間の記念切手の絵柄に採用されています。
基本データ
喜多川歌麿のほかの作品
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(CC BY 2.0、撮影: …trialsanderrors)。元ファイル