
1940年、穴に落ちた飼い犬を追っていた4人の少年が、偶然この洞窟を発見しました。壁と天井には、馬や牛など数百点の絵と、顔料を吹き付けてできた約500点の手形が残されています。一般公開は1963年に打ち切られ、いま見学できるのは近くに作られた精巧な複製洞窟だけです。
見どころ
遠近法を使った角
無数にある壁画の中の1頭、黒い牛の絵は角の長さを描き分けています。手前の角を長く、奥の角を短く描くことで奥行きを表現しています。ほかの人物や動物の絵にも、同様の遠近法が使われています。
吹き付けられた手形
壁画には、顔料を吹き付けて型取りされた人間の手形が約500点残されています。動物の絵とは別に、壁のあちこちにこうした手の跡が刻まれています。
重ねて描かれた壁画
この洞窟の壁画には、古い絵の上に新しい絵が重ねて描かれている箇所があります。画面の空間構成をあまり意識せずに、動物の姿そのものを優先して描いていったようすがうかがえます。
少年たちの偶然の発見
ラスコー洞窟は、フランス南西部ドルドーニュ県、モンティニャック近郊の丘の上にある洞窟です。1940年9月12日、村の少年が、穴に落ちた飼い犬を友達3人と救出しようとした際に発見されました。アルタミラ洞窟壁画と並ぶ、先史時代のフランコ・カンタブリア美術を代表する作品とされています。炭酸カルシウムの形成が壁画の保存を助けたため、「天然のフレスコ画」と呼ばれることもあります。
血や樹液で溶いた顔料
壁画の材料には、赤土や木炭を、獣脂・血・樹液で溶いて練った黒・赤・黄・茶・褐色の顔料が使われました。顔料はくぼんだ石などに蓄えられ、こけや動物の毛、指を使って壁に塗られたと考えられています。
閉鎖から複製の時代へ
1948年7月14日に一般公開が始まった当初は、大勢の観客が洞窟内に迎え入れられていました。しかし観客の吐く二酸化炭素によって壁画が急速に傷んだため、1963年4月20日以降は非公開とされ、応募した数名の研究者だけが1日に入場を許される扱いになっています。オリジナルの近くには、一般見学が可能な複製洞窟「ラスコー2」が1983年に作られました。遠隔地での展示に対応した「ラスコー3」に続き、2016年12月には新たな複製「ラスコー4」も公開されています。
よくある疑問
- 『ラスコー洞窟の壁画』はどこで見られる?
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本物の洞窟は1963年から非公開で、応募した数名の研究者が1日に入場できるのみです。一般の見学者が見られるのは、近くに作られた精巧な複製洞窟「ラスコー2」(1983年公開)です。遠隔地での展示用に作られた「ラスコー3」や、新しい複製「ラスコー4」(2016年12月公開)もあります。
- 誰が描いた?
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作者はわかっていません。約2万年前の後期旧石器時代、クロマニョン人によって描かれたとされています。文字のない時代の壁画のため、署名や記録は残されていません。
- なぜ非公開になった?
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1948年の公開後、大勢の観客の吐く二酸化炭素によって壁画が急速に劣化したためです。壁画をこれ以上傷めないよう、1963年4月20日から非公開とされています。
- 何が描かれている?
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馬・山羊・羊・野牛・鹿・かもしか・人間・幾何学模様など数百点の彩画と刻線画、そして顔料を吹き付けてできた約500点の手形が残されています。全長200メートルほどの洞窟は枝分かれし、壁画が集中する空間ごとに「牡牛の広間」「軸状ギャラリー」などの名前が付けられています。
基本データ
- 制作年
- 約2万年前(後期旧石器時代)
- 種別
- 絵画
- 技法・素材
- 顔料、洞窟の岩壁
- 展示室
- 古代・中世
出典・画像について
画像: Wikimedia Commons(Public domain)。元ファイル